尾藤二洲


座右十戒

(現代語訳)

物事を考えるときはひとつのことに集中し、あれもこれもと欲張ってはいけません。

行動するときは、皆にとって善いことを行い、贔屓してはいけません。

立ち居振る舞いは、常に敬意をもって礼儀正しくし、傲慢であってはいけません。

言葉は常に簡潔明瞭にし、動揺してでたらめを言ってはいけません。

物事を行うときは、必ずその是非を判断してから行いなさい。

物のやりとりをするときは、必ず善悪を判断しなさい。

全ての物事において、機会を見逃さないようにしなさい。

たったひとつのことであっても、物事の原則に逆らって誤ることのないようにしなさい。

大勢でいるときは、必ず自分の考えもなしに他人の意見に同調してはいけません。

ひとりでいるときは、最もその身を慎むようにしなさい。

(漢文)

心主一事不可二三

行取衆善不可偏頗

坐作常要畏謹不可傲慢

言語毎要簡明不可躁妄

應事必辨其是非

接物必擇其邪正

萬事不失機會

一物不愆法則

群居之時須禁雷同

獨知之地最加謹慎

(書き下し文)

心は一事を主とせよ、二三なるべからず

行は衆善を取れ、偏頗(へんぱ)なるべからず

坐作(ざさ)は常に畏謹なるを要す、傲慢なるべからず

言語は毎(つね)に簡明なるを要す、躁妄(そうもう)なるべからず

事に応ずるには、必ず其の是非を弁(わきま)へよ

物に接するには、必ず其の邪正を択べよ

万事に機会を失わず

一物も法則を愆(あやま)らず

群居の時には、須(すべから)く雷同を禁ずべし

独知の地には、最も謹慎を加へよ


尾藤二洲の漢詩

「画梅」

此花 花中選

人能 儔汝誰

一從 孤山逝

風情 獨自知

吾愛 其清高

而未 能相随

早晩 解塵絆

就汝 野水湄

(書き下し文)

此の花は花中の選(せん)

人能く汝に儔(たぐい)するは誰ぞ

一たび從りて孤山に逝(ゆ)き

風情獨(ひと)り自ら知る

吾其の清高を愛するも

而(しか)も未だ相(あい)随ふ能はず

早晩塵絆(じんばん)を解かれなば

汝に就(つ)かん野水の湄(ほとり)に